イサーンの村の小さな先生。

「リョウタ兄ちゃん、水牛見に行こう!」 


久しぶりの村の訪問で僕が大人たちと話をしていると、決まって歩み寄ってくる女の子はいつも、僕をこう誘う。

女の子は村の近況を案内してくれる、僕にとっての小さな先生である。



2人でぶらぶらと歩いていくと、さっそく水牛が僕らを出迎えた。


ニッとした表情が小憎たらしい。が、かわいい。

水牛を見て年甲斐もなくキャッキャッとはしゃぐ僕に、先生は「次行くよ」の一言。


水牛を見に行くと言ったわりには、ぜんぜん鑑賞しないもんである。

先生はぐんぐん歩いていく。



ちらほらいる水牛たちが、のどかなイサーンを演出してくれる。



おや、犬。




「おー俺に寄ってきたか、どうした、どうした」と熱烈に歓迎したらそっぽを向かれた。



分からないものである。



さて先生は、自身が通う学校へと入り込んだ。




「どうだい?学校は。楽しいかい?テストはいい点とってるかい?」

子供が苦手なわりに、なかなか頑張って質問をする僕。

「テストは、まぁ、普通。あ、でもこの前、だいたい百点とったよ」

だいたい百点の意味は良く分からないが、深く追求しないでおこう。



そうこうしていると、学校の裏へと先生はまわりこむ。


「ほら、あそこ」

 見るとアヒルの大群。



「この前、子供が生まれたんだよ」

 へぇーなどと思っていると、気づけば先生の飼い犬も横にいた。

彼女も先生に従ってきたらしい。




一緒になってアヒルを見つめている。



3人でぶらぶら歩きながらいろいろと話す。



「ちょっと待って」

もうすぐ家かというところで、突然先生は長いさおを取って、木をいじる。



「この実が美味しいんだよ。リョウタ兄ちゃんに食べさせてあげるよ」

先生は必死に実を取ろうとしてくれている。



さぞや美味いのだろう。

表情が物語っている。


ポトポトと実が地面に落下した。

「はい、どうぞ」

満面の笑みで渡された。


口の中に放り込む。

「ぐえー」

その場で吐き出した。

恐ろしいほどの渋み。



先生はキャッキャッと笑いながら部屋へと走っていった。

久しぶりの村。先生がいたずら娘だったことをすっかり忘れていた。



犬は疲れて眠りこんでいた。



ちなみに、イサーンには大きな先生もいる。それはコチラ





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