タイーカンボジアの国境紛争問題の雪解けと、課題としての歴史教育。



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Bangkok Post(2011.12.28付)によると、国境問題をめぐるタイーカンボジアの関係が良好になりつつあるようだ。


                                (source:Bangkok Post http://bit.ly/vhxqLp)


両国がもめていたのは、国境線に立地する世界遺産プレアビヒア遺跡(タイ名:カオプラウィハーン)をめぐってのこと。


そんな緊張状態にあった両政府だが、今年就任したインラック首相は9月、カンボジアとの良好な関係性を築くためにカンボジアのフン・セン首相と会談。

国境問題に関して、互いに前向きな姿勢で協力しあうことで双方合意したのだった。

そうした流れで、先週には、タイのユタサク国防相とカンボジアのティア・バニュ副首相兼国防相がプノンペンで会談をし、国際司法裁判所の命令に従って、非武装地帯からタイ、カンボジア両軍を撤兵させることが決定したのだ。

そんなわけで、Bangkok Postに掲載された笑顔の握手へ、と至ったわけである。



とりあえずは両国の関係性が良くなるいい兆しとも思えるし、そうなって欲しいもんだが、まぁ、問題はそんなに単純ではないかもしれない。



以前も書いたが、(”プレアビヒア遺跡・国境線・歴史の言説化。”)国境線をめぐる認識の問題は、歴史認識にかかわることであり、その対象を「どのように教わってきたか?」によるところが大きい。

簡単に言っちゃえば、歴史教育の問題である。

なので、とりあえず両政府間で”仲直り”したことはそれで大きな前進だが、実は今後、根本的な歴史教育の問題に両国が踏み込まなくてはならないだろう。



国の歴史、いわゆるナショナルヒストリーなんてものは、自国の権力を正当化するための言説として語られることが多い。

プレアビヒア付近の国境線をめぐる両国の歴史的言説は、それぞれが”根拠”をもち、それぞれが”正当”であろう。

そうなると両国は「なんであいつら分からないんだ?」みたいにイライラするだけであり、結局今後もまた衝突してしまう。

それじゃあ、対立の繰り返しである。



よって今後は、両国それぞれで描かれてきたこれまでの自国中心的なナショナルヒストリーを相対化し、互いに歩み寄りをみせる歴史が書かれ、語られなくてはならないのだ。

たとえば、「人類の大いなる遺産プレアビヒア寺院を後世に保存していこう!」という基本的立場に従って、両国民が協力していけるような心持ちにさせる歴史像を描く、とかね。

そんな新しい歴史教育が求められるのである。



とまぁ、こんなふうに書いてみたけど、実際こうしたナショナルヒストリーをめぐる問題性は、別にタイーカンボジアに限ったことじゃなくて、たとえば日本ー韓国の歴史問題なんかもそう。

要は、国という殻に閉じこもった歴史は今後どうなんだ?って話で、国を世界の中の一つの地域として相対的に位置づけ、各国の関係性の網のなかで考えるような歴史認識が大事ってわけである。



ちなみに、手前味噌ではあるが、以前書いたニュース記事「国境紛争問題解決への小さな一歩。タイ・カンボジア合同の托鉢儀礼に1万人参加」みたいな、国を越えた地域ぐるみでの結びつきも大事だなぁと。

まぁ、手前味噌だけど。笑



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